EC サイトで商品をカートに入れたお客様のうち、そのまま購入まで進むのは3割程度。残りの7割前後は、決済を完了せずに離脱します。これが「 カゴ落ち( カート落ち ) 」です。
カゴ落ちしたお客様は、商品を見つけ、サイズや色を選び、カートに入れるところまで来ています。EC の中で最も購入に近い人たちです。だからこそ、カゴ落ち対策は EC 施策の中でも費用対効果が突出して高く、私たちの導入企業ではカゴ落ちリマインドが「 LINE 経由売上の柱 」になっているケースが珍しくありません。
この記事では、カゴ落ちの定義と平均的な発生率、主な原因、そして対策7選を整理します。特に「 メールと LINE、どちらでリマインドすべきか 」は、導入企業の実データで比較します。
カゴ落ちとは、商品をカートに入れたにもかかわらず、購入を完了せずにサイトを離れることです。カート落ち、カート放棄、カゴ放棄とも呼ばれます。指標として見るときの カゴ落ち率・カート放棄率・カート離脱率 も、すべて同じものを指します( 英語では cart abandonment )。ツールや社内の慣習で呼び方が違うだけなので、他社の数値と比べるときは名前ではなく計算式をそろえて確認してください。
カゴ落ち率は「 カートに商品を入れたセッションのうち、購入に至らなかった割合 」で、次の式で計算します。
カゴ落ち率 = 1 −( 購入完了数 ÷ カート投入数 )
海外の調査機関 Baymard Institute が 2006 年〜2025 年の調査 50 件を集計した平均カゴ落ち率は 70.22% です。日本の EC でも 6〜8 割が目安と言われます。商材や客層で大きく変わるので、まず自社の数値を GA4 などで把握することが出発点です。
同じく Baymard Institute の調査では、「 見ているだけで買う予定がなかった 」層を除いた離脱理由の内訳は、追加費用( 送料・手数料・税 )が高い 40%、配送が遅い 20%、カード情報の安全性が不安 19%、会員登録を求められた 18%、入力が長い・手順が複雑 17%、サイトのエラー 17% でした( 複数回答 )。なお米国の買い物客の 42% は「 見ているだけで、まだ買う段階ではなかった 」を理由に挙げています。
この内訳で目を引くのは、上位のほとんどが「 商品が気に入らなかった 」ではないことです。費用・手間・不安という手前の壁で止まっているだけなので、壁を減らすか、あとから声をかけるかで取り戻せます。
送料・手数料が最後に判明する:合計金額を見て「 思ったより高い 」と離脱する、最も多い理由。
会員登録を強制される:購入のために名前・住所・パスワードの入力を求められ、「 面倒だから今度 」になる。
比較検討の途中:他店の価格やレビューを見に行く。カートを「 保存用 」として使っているお客様も多い。
決済手段が合わない:使いたい支払い方法がない、決済画面でエラーが出る。
単純に中断した:電車を降りた、通知が来た、後で買おうと思って忘れた。
重要なのは、最後の2つ――「 比較検討中 」と「 中断 」――は商品への意欲が消えたわけではないことです。ここに、あとから声をかける( リマインドする )余地があります。
商品ページやカート画面で送料込みの総額を表示する。「 ○円以上で送料無料 」の残額表示も効果的です。
購入の壁になっている登録を外す。登録は購入完了後に「 次回のために 」促す方が離脱が減ります。
クレジットカードに加え、ID 決済・後払い・コンビニ払いなど。特にスマホでは入力の少ない決済が効きます。
非会員のカートがセッション切れで消えると、戻ってきても商品がなくなっています。カートの保持期間はリマインドの前提でもあります。
カゴ落ちメールは定番の施策で、ウェブ接客ツールや MA で実装できます。ただし会員( メールアドレスを取得済みのお客様 )にしか送れないこと、開封率が下がっていることが弱点です。
お客様が普段使っている LINE に、カートに入れた商品を送る方法です。開封されやすくタイミングも合わせやすいため、CVR はメールを大きく上回ります( 次章で数字を示します )。課題は「 LINE 友だちのうち、誰がカートに入れたか 」をどう特定するか。ここで方式の違いが出ます。
カートに入れた商品を広告で追いかける方法。届く範囲は広い反面、費用が配信ごとにかかり、ROAS はリマインド配信より低くなりがちです。アパレル企業様では、同じ有償配信であるリタゲ広告と比べて LINE のリマインドが ROAS で2.5〜3倍でした。
弊社クライアントから共有いただいた、カゴ落ちリマインドの CVR( 配信からの購入率 )です。社名は伏せ、業種で表記しています。
1.2〜1.5%
メールの約 2 倍
アパレル企業様は同じサイトでメール( 他社ウェブ接客ツール )と LINE の両方を運用しており、メールの1.2〜1.5%は「 サイト全体の平均 CVR とそんなに変わらない 」水準だったのに対し、LINE は約8%。商業施設様では、カゴ落ち配信からの売上のうちメール経由を含めても LINE 経由が8割を占めています。「 メールはオンタイムで見てもらいにくく、カゴ落ちは LINE のほうが親和性が高い 」というのが担当者の実感です。
ここで注意点があります。多くの LINE カゴ落ち施策は、会員登録と ID 連携が前提です。つまり「 会員で、かつ LINE ID を連携したお客様 」がカートに入れた場合しか検知できません。EC の訪問者の大多数は非会員なので、カゴ落ちの大半は最初から対象外になります。
もう 1 つ、見逃されがちな落とし穴があります。ID 連携型は、お客様がその瞬間に EC サイトへログインしていないと、誰のカートかを判別できません。ID 連携済みの会員であっても、ログアウト状態で商品をカートに入れて離脱すれば、リマインドは送れないのです。スマートフォンで別のブラウザから開いた、しばらく経ってログインが切れていた、ログイン前にカートに入れて離脱した――こうしたケースはすべて対象外になります。「 ID 連携率 」だけを見て導入を決めると、実際に配信できる件数はさらに少なくなるので注意してください。
これを避けるには、会員登録も ID 連携も、ログイン状態も求めずにカゴ落ちを検知する仕組みが必要です。EC サイトにタグを埋め込み、LINE 友だちであればカート投入を検知して配信する――ワズアップ!はこの方式( 非会員 CRM・特許取得 )で、上の表の数字はすべて非会員を含む配信の実績です。
2通構成にする:「 カートに戻す配信 」と「 カートに入れていた商品を配信 」の2種類を時間差で送る。アパレル企業様では1通目 CVR 7%、2通目6%と、2通目も高い成果を出しています。
タイミングは30分以降・保持期間より前:カート投入の30分後に1通目、60分後に2通目が標準。カートの保持期間が短いサイトは、それより前に送る必要があります( 具体値は下の Tips )。
条件は売上を見て変える:アパレル企業様は「 一度決めたシナリオでも条件をすぐ変更できるので、売上を見ながら PDCA を回せる 」ことを評価しています。
完全自動にする:カゴ落ちリマインドは毎日発生する配信です。初期設定以降は手を動かさない設計にしないと運用が続きません。アパレル企業様は「 運用の手間が一切かからない 」ことを最大の利点に挙げています。
誰に送るかの絞り込みは、カゴ落ち以外の配信でも考え方は同じです。配信対象の作り方は LINE セグメント配信とは( やり方3種・費用・成果比較 ) で解説しています。
配信タイミングの定番は「 30分後にカートへ戻す配信、60分後に商品ページの配信 」。最短5分後の企業もありますが、30分より早いと「 まだ買い物中 」のお客様に届いてしまうため、30分以降を推奨しています。カートの保持期間が15分と短いサイトでは10分後に商品リマインドを送る設定にします( 商品リマインドはカートに商品が残っていなくても送れます )。
2通送る方が1通より1.5〜1.7倍成果が高く、カートに戻す配信( 継続リマインド )の方が商品ページの配信より約1.5倍 CVR が高い傾向です。成果重視なら2通構成にしてください。
「 しつこくないか 」は必ず聞かれますが、同じカゴ落ちに繰り返し送る仕組みではありません。1回配信したら、お客様が再びカートを見ない限り再送されず、購入かカートに戻った時点で止まります。実際「 止めたい 」という問い合わせは過去2件。お客様が LINE で「 カート落ち停止 」と送れば個別に止められる設定も可能です。
深夜の配信は止められます( 停止中に発生した分は翌朝まとめて送られず、そのまま送られません )。配信タイミングは管理画面から即時変更できます。
配信対象はLINE 経由でサイトに来た人です。リッチメニューやメッセージのリンクは管理画面で「 変換 URL 」にしておく必要があり、初回だけ LINE ログインの認証画面が出て、2回目以降は認証なしで遷移します。
配信に載る商品は最大10点・新しい順。配信数は管理画面の「 リマインド配信数 」、購入は GA4で確認します。
カゴ落ち率の平均は約7割。原因は送料・登録の手間・比較検討・中断で、後半2つは意欲が残っている。
対策は「 壁を減らす 」( 総額表示・ゲスト購入・決済手段・カート保持 )と「 声をかける 」( メール・LINE・広告 )の2系統。
リマインドはメール1.2〜1.5%に対し、LINE は5〜11%。ROAS は1,600〜5,000%。
LINE リマインドは会員登録・ID 連携前提だと非会員に届かない。非会員を含めて検知する仕組みを選ぶ。
2通構成・短めのタイミング・完全自動、が設計の基本。
関連:カゴ落ちリマインドの導入事例( 10社 )/閲覧商品リマインドの導入事例/ID 連携なしで配信を実現した事例/LINE セグメント配信とは( 解説 )
商品をカートに入れたにもかかわらず、購入を完了せずにサイトを離れることです。カート落ち、カート放棄、カゴ放棄とも呼ばれ、英語では cart abandonment といいます。指標として使う「 カゴ落ち率 」「 カート放棄率 」「 カート離脱率 」も、すべて同じものを指します。呼び方がツールや社内の慣習で違うだけなので、他社の数値と比べるときは名前ではなく計算式をそろえて確認してください。
「 カゴ落ち率 = 1 −( 購入完了数 ÷ カート投入数 ) 」で計算します。カートに商品を入れたセッションのうち、購入に至らなかった割合です。分母を「 カート投入数 」にするか「 チェックアウト開始数 」にするかで数値が大きく変わるため、自社の数値を出すときも他社と比べるときも、分母をそろえてください。
海外の調査機関( Baymard Institute )の集計では約70%、日本の EC でも6〜8割が目安とされます。「 1 −( 購入完了数 ÷ カート投入数 ) 」で計算し、まず自社の数値を GA4などで把握することが出発点です。
アパレル企業様では他社ツールのメールが1.2〜1.5%( サイト平均 CVR とほぼ同じ )に対し、LINE は約8%。コスメ企業様約10%、アパレル企業様10.6%、コスメ企業様11%と、LINE はメールの数倍の CVR です。商業施設様ではカゴ落ち配信からの売上の8割が LINE 経由でした。
同じカゴ落ちに繰り返し送る仕組みではなく、1回配信後はお客様が再びカートを見ない限り再送されず、購入かカートに戻った時点で止まります。「 止めたい 」という問い合わせは過去2件です。配信は30分後・60分後の2通構成が標準で、2通の方が1通より1.5〜1.7倍成果が高くなります。